TACOMA FUJI RECORDS / HBJJ (HOME BREW JIU JITSU) designed by Jerry UKAI / タコマフジ / ジェリー鵜飼 / グレー
HBJJ (HOME BREW JIU JITSU) designed by Jerry UKAI
米国ワシントン州を代表するクラフトブリュワリー、GOOD BEER TAPSの元オーナーZAKK LOWE (ザック・ロー)が生活の拠点を日本に移したのは2019年初夏。「日本にも最高のフェスがある、よかったら遊びに来ないか?」ランニングとビールに対する情熱がひと段落していたザックは、東京に住む友人からの軽い誘いに乗る。来日経験はないが小さい頃から日本には興味があった。子供の頃は週末の朝は早起きして吹き替え版の日本のアニメを観ていたし、日本人レスラーの真似をして兄めがけて家の屋根からムーンサルトプレスを失敗、骨折した事もあった。日本人留学生が見せてくれた日本のAVを見てセクシー女優にマジ惚れ、書いたファンレターをちゃかした兄をバイクで轢いたのは地元ではちょっとした事件になった。同時に、ブリュワリーを運営していたザックが興味を持ったのは日本独特の飲酒文化だ。公共の場でぶっ倒れるまで酒盛りをして大騒ぎする姿(花見)や電車な路上で無防備に居眠りをしている様子は彼の育った文化圏では考えられない事だった。その様子は粗野のようでもあり、一方で成熟した社会秩序の上に成り立つアルコールを取り巻く環境にも興味があった。苗場で開催されたミュージックフェスを友人と楽しんだ彼は、会場で出会った数人の日本人と意気投合する。彼らは東京からやってきた年齢も職業もバラバラの柔術愛好家で、自分たちをHBJJ (HIGH BASIC JIU JITSU)のメンバーだと称した。ザックが立ち上げたGOOD BEER TAPSの存在を知るほどのビアギーク(ビール愛好家)でもあったHBJJのメンバーは「東京のクラフトビールシーンも悪くないよ、案内するから東京でも呑もう」と提案。誘われるがまま、ザックはその後数週間の滞在期間中東京近郊ののタップルームと居酒屋を巡り、日本のクラフトビールシーンの勃興と居酒屋や街中華における日本の飲酒文化に深く感銘を受けた。普段は生真面目な日本人が、狭い居酒屋では隣合った知らない者同士が親しげに話している。そんな様子に、日本ではアルコールがただの嗜好品以上に社会風俗の中で大事なものである様にザックは心打たれる。また、滞在中彼が新たに触れたのは柔術だった。10年以上前に青帯に昇段したあたりでビジネスに忙殺され、すっかり道着に袖を通す事はなかったが、時間を持て余している際にHBJJのメンバーの通う柔術道場に付いて行く間にザックの柔術熱は再燃した。すっかり東京での生活に心奪われてしまったザックはHBJJのメンバーたちのサポートもあり、新たに東京で自身のブリュワリーをスタートする。アメリカ北西部、クラフトビールカルチャーの中心で育まれたブリュワリーとしてのノウハウを持つザックが新たに始めたブリュワリーは、東京三鷹市で築50年近い民家をリノベーションしたもの。1階は柔術用のマットスペースとブリュワリーで、2階は彼の自宅。醸造スペースを自宅に確保した事や、東京をベースにするきっかけを与えてくれた柔術家の友人たちに因んでブリュワリーの名前はHBJJ(HOME BREW JIU JITSU)とした。クラフトビールと柔術の新しい共存の形として世界中のマイクロブリュワリーや柔術家から注目されているHBJJ。最近では吉祥寺で見かける外国人観光客の殆どは「例のミュージアムかHBJJ目当て」と言われている。なお、現在のザックは長髪に無精髭、普段着もボトムスは柔術着を愛用。口癖は「火弖ルにする?いせやにする?タバコ吸えないけどビールボーイでもいいよ」だという。 *このストーリーは100%のフィクションです。